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第10回 気候②:大気の大循環②

テーマ:気候(大気の大循環) 内容:雨季、乾季、中緯度高圧帯、赤道低圧帯、季節風(モンスーン) 導入問題:前回の続き: チュニスとテヘランには雨季と乾季が見られるが、その理由を気圧帯の移動との関係から述べてみよう。 思考問題①: 教科書「work」:「東京と同緯度上のチュニス、テヘラン、ランチョウ、ラスベガスと東京を比較して、東京の降水量が多い理由を考えてみよう」 思考問題②: 基本課題⑤大気の大循環(2013年度センター試験地理B第1問問1)      発展問題⑤大気の大循環(2016年度センター試験地理B第1問問5) 第10回です。 導入問題として、前回の続きをやったり、ロイロの回答共有機能を使って他の意見を見てもらったりしました。 模範回答としては 「 夏は中緯度高圧帯の勢力下に入り乾季となるが、冬には赤道低圧帯の勢力下に入り雨季となる。」 それから、なぜ中緯度高圧帯や赤道低圧帯が季節によって南北移動するのかをロイロで提出してくれた生徒もいるので、それも紹介しておきます。 「地球の地軸が傾いていることと、公転していることによって太陽光を強く受ける部分が変化するため」とかですね。 展開① さて、前回は気温の基本原則を学習し、降水量の基本原則の途中で終わりました。 スタートでは導入問題も兼ねて、チュニス・テヘランのように降水量が異なる理由を考えました。 次に季節風について考えていきます。 日本が位置する北緯30〜40度は乾燥した気候のところが多いです。東京と同緯度のチュニスやテヘランと比べると、東京は降水量が多いです。この理由について考えていきます。 思考問題:教科書「work」:「東京と同緯度上のチュニス、テヘラン、ランチョウ、ラスベガスと東京を比較して、東京の降水量が多い理由を考えてみよう」 教科書の本文に答えは書いてありますので、ロイロを使わず、口頭での意見交換で十分かもしれません。 ただ、教科書に答えがあるよと言わずにやってみると、意外と色々な意見が出てきて面白かったです。やってみるものですね。 例えば 「中緯度高圧帯から外れるから」とチュニス・テヘランの気候に関連づけてみるもの、 「島国だから」 なども出てきます。 教科書には 「季節風(モンスーン)によって大量の水蒸気が海から運ばれてくるため。」 と書いてあります。 本文を読めば答えは見つかりますので...

第9回 気候①:大気の大循環①

 テーマ:気候(大気の大循環) 内容:大気の大循環、偏西風、貿易風、中緯度高圧帯、赤道低圧帯、年較差、日較差、雨季、乾季、季節風(モンスーン) ログインチャレンジ⑤:長江とアマゾン川の勾配と流量(2020年センター試験地理第2問問1) 導入問題:ハリケーン・カトリーナは時計回り?反時計回り?      雲は東西、どちらに流れている? 思考問題:教科書work:チュニスとテヘランには雨季と乾季が見られるが、その理由を気圧帯の移動との関係から述べてみよう。 思考問題:基本課題⑤大気の大循環(2013年度センター試験地理B第1問問1)      発展問題⑤大気の大循環(2016年度センター試験地理B第1問問5) 第9回です。 ここから気候に入っていきます。まずは世界の気候を司る大原則となる大気の大循環を見ていきます。 ログインチャレンジ問題を用意しましたが、生徒も慣れてきたせいもあってログインまでの時間にタイムラグがなくなってきて、必要なくなってきましたので、あと3回くらいでなくなります。あとは人文地理的な内容にや地誌に入ると、生徒の疑問やこちらの発問が導入問題になっていきました。 ちなみにログインチャレンジ問題は「長江とアマゾン川の勾配と流量」に関するもので、同じ安定大陸でありながら、勾配に大きな違いのある河川を取り上げ、チベット高原の存在に着目させ、その勾配の違いを推測させ、さらに気候の違いから河川の流量を推測させるという面白い問題でした。気候はこれからやるので、流量に関しては本当に推測になりますが、導入問題としてはこれはこれで良いと思います。これから気候を学んでいくきっかけになりますので。共通テストで問われれるようになった知識活用型の問題で、地理はセンター試験の時からこのような問題が多かったと思います。 本題です。 導入 導入問題:①ハリケーン・カトリーナは時計回り?反時計回り?      ②雲は東西、どちらに流れている? ①は教科書にハリケーン・カトリーナの衛星写真が掲載されていて、時計回りか反時計回りかを意見交換してもらい、サイクロンは?とか聞きながら、なぜ雲が流れる方向が決まっているのか?という視点から大気の大循環に入っていくパターンで、ロイロを使う前から導入としてやっていました。答えは地球の自転と転向力(コリオリの力)です。また、トイレの渦巻きは時...

第7回 河川・海岸の地形②

テーマ 河川・海岸の地形 内容:河岸段丘、台地、岩石海岸、リアス海岸、砂浜海岸、海岸段丘  導入問題:ログインチャレンジ④:プレートの境界の特徴と成因、火山・地震の分布(2014年センター試験地理B第1問問1・2) 思考問題:「天橋立」・「美保の松原」(「富士山・海・松原の景観」)はどのように形成されたのか? 導入 前回の基本課題の解説から入っていきますが、ログイン完了で足並みが揃うまではロイロのテスト機能でチャレンジ問題をやってもらいます。 基本課題④解説 長い解説は必要ないと思います。 「河川の侵食によるV字形の深い谷の底に土砂が堆積してできた小規模な平地が見ら れる。 集落は,河川に沿った平地に立地 している」など、選択肢の説明が丁寧なので、該当の地形図をすぐに選べると思います。 展開①:三角州 沖積平野のゴール、河口部に形成されるのが、三角州(デルタ)といわれる低湿地で、地盤が緩く、洪水、高潮、地盤沈下などの災害の危険性が高いが、水の得やすさや、海へのアクセスから古くから都市が形成されることが多かった地形です。 ここも実験の動画を見てもらいました。 https://www.youtube.com/watch?v=nU2En-qv0wo こういう実験してみたいです。 展開②:河岸段丘 次に氾濫原が隆起して形成される河岸段丘を見ていきます。大きく分けると河岸段丘には2つのパターンがあると思いますが、使用している教科書は、氾濫原の一部が隆起して台地を形成するパターンです。正確にはこれに隆起や海面低下が加わり、河川の浸食作用によって階段状の地形ができます。これを考え始めると、かなり複雑です。地理Aのレベルでは氾濫原の隆起に留めるくらいがいいのかもしれません。地理Aではその細かいメカニズムよりも、そこでの生活に重きが置かれている気がします。 ですので、台地上は氾濫の心配はないが、水を得にくく、灌漑などの技術が必要さとされることを資料集などのイラスト・写真とともに紹介しておきます。この台地の地形については、地誌でタイを扱う際に重要になってきます(タイ最大の稲作地帯=コラート台地)。 作業①河岸段丘の等高線(10mごと)の着色 河岸段丘の地形図の等高線を辿ることによって河川を中心とする階段状の地形を確認します。 等高線が密集している部分というのはどのような地形なの...

第6回 河川・河岸の地形①

テーマ:河川・河岸の地形 内容:氾濫原、沖積平野、扇状地、自然堤防、後背湿地、三角州(デルタ)、扇頂、扇央、扇端、水無川、三日月湖、伏流水 導入問題:ログインチャレンジ③:地図の図法(2007年センター試験地理A第1問問1) 思考問題①:基本課題④地形図の読図(自然堤防帯、河岸段丘、V字谷、扇状地)( 令和元年度第1回高等学校卒業程度認定試験問題地理B打2問問1 ) 思考問題②:発展課題④扇状地の成因と特徴(2018年センター試験地学第2問問4) 第6回です。 今回は前回学習した、沖積平野について、その特徴と成因、そこでの生活を読図を通して学んでいきます。 ログイン待ち タブレットへのログインのタイムラグを埋めるために、ログインチャレンジ③を用意しました。地図の図法に関するセンター試験地理Aの問題を用意しました。ロイロのテスト機能を使って回答してもらいます。内容的には第2・3回の復習になります。解説はしません。知りたければ授業後などに個別対応という形にしました。 全員がログインできたところで、本題へ。 導入 沖積平野の形成について確認をします。河川が山地を削ってV字谷を形成し、その土砂を運搬、堆積させた地形が沖積平野でした。これを指名でもいいですし、周囲で1分くらいで意見交換でもいいので、確認させます。 展開①  扇状地、氾濫原、三角州 沖積平野をさらに詳細に見ていきます。V字谷が形成された後、河川が運搬する土砂がどのような地形を形成していくのかを学習していきます。 まずは沖積平野を3つに分けていきます。V字谷が形成された後、土砂は山麓に堆積し、扇状地、氾濫原、三角州という大きな括りで見ていきます。扇状地はその名の通り扇型の地形。氾濫原は河川が氾濫によって作り出した地形。三角州はデルタとも呼ばれ河口に形成された低湿地です。 次にそれぞれをさらに細かく見て行きます。 扇状地は上流から扇頂、扇央、扇端に分けられます。扇状地のどこに位置するかによって名称は決まってくるのでわかりやすいと思います。 扇状地の土地利用くらいは中学校の地理でやっていたりしますので、扇状地はなぜ果樹園に向いているのか、カードを提出させてもいいですね。 作業① 教科書には扇状地の地形図が載っていることが多いので、読図をしながら扇状地の特徴について見ていきます。 A:等高線の着色 B:集落の位置をマー...

第5回 さまざまな地形②

テーマ:さまざまな地形 内容:変動帯、活断層、V字谷、沖積平野、段丘、楯状地、卓状地、侵食平野、構造平野 導入問題: プレートの境界と安定大陸・変動帯の地形区分のトレース と 地震と火山の分布 の比較・考察 思考問題①:基本課題②プレートの境界の特徴(2020年センター試験地理A第1問問4) 思考問題②:発展課題②海洋底プレートの境界の特徴(2006年センター試験地理B第3問問1) 思考問題③:基本課題③安定大陸の地形・新期造山帯の特徴(2007年センター試験地理B第1問問1) 思考問題④:発展課題③安定大陸の地形・構造平野(2009年センター試験地理B第1問問8) 第5回です。 導入問題:前回の続き 導入問題として前回の続きをやっていきます。トレーシングペーパーを使って教科書の図「プレートの境界と安定大陸・変動帯の地形区分」を写していきます。それをもう一つの図「地震と火山の分布」に重ねて、考察を行います。この方法は4年前からやっていますが、「地理総合」の教科書見本の中には、この過程を簡単にできるシートが付いている教科書がありましたね。重ね合わせるという作業はGISのアナログ版と言ってもいいですからね。「地理総合」でも重要な作業と言えます。 さて、ロイロノートに重ね合わせた図をタブレットのカメラ機能(ロイロのメニューバーにもカメラメニューがあります)で撮影し、提出です。考察はカードで提出です。 意見としては A「プレートの境界で地震や火山が発生している」 B「狭まる境界で地震が多く発生している」 C「プレートの境界から少しずれたところに地震や火山が連なっている」 などが出てきます。 Aの意見が多く出てきますが、「プレートの境界の中でも、違いはある? 」とコメントを返して、「せばまる境界」「広がる境界」「ずれる境界」ごとの違いを考えさせます。するとBのような意見に変容したりします。もちろん、最初からBのような意見も出てきます。 また、Cのような鋭い指摘も出てきます。2枚の図を比較するだけでは、Cのような意見は出にくいと思います。トレーシングして重ねることによって、細かい部分にまで注目できます。大学で地理学の先生に「鳥の目=俯瞰的・マクロ的視点」・「虫の目=ミクロ的視点」で見ることが大切とよく言われました。「境界部分に地震や火山の部分が重なる」という考察は「鳥の目」の視...

第4回 さまざまな地形①

テーマ:さまざまな地形 内容:プレートテクトニクス、広がる境界、せばまる境界、ずれる境界、安定大陸、変動帯、環太平洋造山帯、アルプス・ヒマラヤ造山帯 ログインチャレンジ問題①:「かつて大陸が1つであったことをパズルのように組み合わさる以外の方法で説明しよう」 ログインチャレンジ問題②:「エヴェレストの頂上からは古代の海洋生物の化石が発見される。なぜだろう?」 思考問題: プレートの境界と安定大陸・変動帯の地形区分のトレース と 地震と火山の分布 の比較・考察 第4回です。 かなり記憶が薄くなっています。今(1月)のようにタブレットを使った授業のリズムがまだ掴めていなかったので、バタバタしながら授業をしていた記憶があります。 導入 今回からログインチャレンジ問題なるものを始めました。生徒がタブレットのログインするまでの時間にタイムラグがあって、早くログインできた人からチャレンジできる問題を用意しました。 まずはログインチャレンジ①です。 教科書にはパズルのように大陸が接する図が載っていて、大陸がかつては大きな一つの大陸であったことが推測できるのですが、パズルのようにピッタリ接する以外で大陸がかつて1つだったことを証明するにはどうしたらいいかを考えてもらいました。ロイロで提出です。これはアルフレッド・ウェゲナーさんの『かつて地球には単一の大陸「パンゲア」があった。』という説の根拠を考えてもらうという問題になります。そこから、大陸移動説へと話をもっていき、プレートテクトニクスの説明に入ります。 模範解答は 「同種の化石・地層、氷河跡が複数の大陸にまたがっている」 です。いい線ついてる意見がロイロに数多く提出されました。 ログインチャレンジ②はログインチャレンジ①が終わってまだなお余裕がある人はやってみようという形にしました。 プレートテクトニクスの理論によって、インド亜大陸はユーラシア大陸にぶつかります。その際に地層が押し上げられてヒマラヤ山脈が形成されるわけですが(アルプス・ヒマラヤ造山帯)、かつて海底だったところが、押し上げられたことによってエヴェレスト頂上付近では三葉虫やアンモナイトの化石が発見されます。この話をどこかでしておくと、東南アジアの地誌を学習する際に、大陸の河川が放射状に流れる理由と関連づけることができます。詳しくは「東南アジアの自然と文化」で。 展開 ...

第2•3回 いろいろな地図を知ろう  

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テーマ:いろいろな地図を知ろう 内容 :投影法、メルカトル図法、モルワイデ図法、正距方位図法 導入問題:教科書のウォームアップ問題(地図を使って、2国間の距離、面積の大小、飛行機で旅行する際の通過地点を考える) 思考問題 基本課題①:導入問題のアレンジ      発展課題①:平成30年度第1回高等学校卒業程度認定試験問題をアレンジ(正距方位図法でわかること) 第1回でロイロの使い方に慣れてもらってところで、本題に入っていきます。 と言っても、まだ2回目ですので、慣れないことも多く、1回で終える内容を2回分の授業を使って行うことになりました。ロイロを使うといいこともありますが、トーク&チョーク&スライドで授業をするよりも 1.5倍くらい時間がかかる ということが1年やって分かりました。 地理総合で使う分には良いかもしれませんが、探究やいわゆるB科目の授業では毎回ロイロを使うのは難しいと思います。 ロイロのメリットを補足していくと 問いに対する答えはロイロ上でリアルタイムで閲覧 できるので、プリントのように授業後に回収する必要がなく、授業中に採点、チェックでき、 即時フィードバック ができる。実際には全てにコメントをつけたりすることは授業中にはできないので、選別して コメントをつけた返却したり 、机間巡視しながら紹介するようにしています。 カードにコメントをつけて返却する    コメントをつけて返却するという機能ですが、 生徒が提出箱に提出したカードにコメントを入力またはスタイラスペン (Apple Pencilなど) で手書きして返却 することができます。私は「 もう少し、詳しく 」、「 あと少しで正解 」、「 いい視点! 」(なるべくポジティブにコメントしてます)とか手書きして返却しています。     リアルタイムでフィードバックをすることは、ロイロではなくても、挙手して指名しても同じようなことはできるじゃないかという声もあると思います。ロイロで回答や意見を提出させることのメリットは、 リアルタイム・フィードバック (思いつきの造語です)と 埋もれた鋭い意見を見つけて、紹介できる ことだと思います。机間巡視と挙手だと、 いい意見なんだけど発表されない、いい間違いなんだけど発掘されない意見や回答 があると思います...