第6回 河川・河岸の地形①

テーマ:河川・河岸の地形
内容:氾濫原、沖積平野、扇状地、自然堤防、後背湿地、三角州(デルタ)、扇頂、扇央、扇端、水無川、三日月湖、伏流水
導入問題:ログインチャレンジ③:地図の図法(2007年センター試験地理A第1問問1)
思考問題①:基本課題④地形図の読図(自然堤防帯、河岸段丘、V字谷、扇状地)(令和元年度第1回高等学校卒業程度認定試験問題地理B打2問問1
思考問題②:発展課題④扇状地の成因と特徴(2018年センター試験地学第2問問4)





第6回です。

今回は前回学習した、沖積平野について、その特徴と成因、そこでの生活を読図を通して学んでいきます。

ログイン待ち


タブレットへのログインのタイムラグを埋めるために、ログインチャレンジ③を用意しました。地図の図法に関するセンター試験地理Aの問題を用意しました。ロイロのテスト機能を使って回答してもらいます。内容的には第2・3回の復習になります。解説はしません。知りたければ授業後などに個別対応という形にしました。

全員がログインできたところで、本題へ。

導入

沖積平野の形成について確認をします。河川が山地を削ってV字谷を形成し、その土砂を運搬、堆積させた地形が沖積平野でした。これを指名でもいいですし、周囲で1分くらいで意見交換でもいいので、確認させます。

展開① 扇状地、氾濫原、三角州

沖積平野をさらに詳細に見ていきます。V字谷が形成された後、河川が運搬する土砂がどのような地形を形成していくのかを学習していきます。

まずは沖積平野を3つに分けていきます。V字谷が形成された後、土砂は山麓に堆積し、扇状地、氾濫原、三角州という大きな括りで見ていきます。扇状地はその名の通り扇型の地形。氾濫原は河川が氾濫によって作り出した地形。三角州はデルタとも呼ばれ河口に形成された低湿地です。

次にそれぞれをさらに細かく見て行きます。
扇状地は上流から扇頂、扇央、扇端に分けられます。扇状地のどこに位置するかによって名称は決まってくるのでわかりやすいと思います。
扇状地の土地利用くらいは中学校の地理でやっていたりしますので、扇状地はなぜ果樹園に向いているのか、カードを提出させてもいいですね。

作業①

教科書には扇状地の地形図が載っていることが多いので、読図をしながら扇状地の特徴について見ていきます。
A:等高線の着色
B:集落の位置をマーク

Aは50m間隔くらいの等高線をマーカーや色鉛筆などでなぞることによって山麓を頂点として扇型に開いた地形を確認します。今回は地形図をスキャンして画像にしたものをロイロで配信して、タブレット上でタブレットペンを使って着色しました。間違えても消せますし、拡大縮小が自由にできるので、作業は簡単です(タブレットを使うまでは地図に直接書き込ませていました、これも大事です)。
Bは次の問いに関わってくる部分です。

問①1どのような地形?
  2扇央の土地利用は?
  3集落はどのような地形に分布しているか?

この問をロイロを通じてカードで生徒に送り、このカードに解答を追記して提出させます。

提出されたものを「解答共有」機能を使いながら、確認させて解説に入ります。問①1は扇状地で、問①2は果樹園、問①3は扇端(湧水帯)になります。扇央部分では粒子の粗い砂礫が堆積し、河川は伏流し、水無川となります。ですので、水はけは良好で、果樹園に向いています。扇端部分では、伏流した河川が湧水となってあらわれる湧水帯となります。水を得やすいので集落が発達する傾向にあります。

以上扇状地です。
資料集を使って説明をして、最後に扇状地が形成される実験の様子を見てもらいました。実際にやってみたいですが、時間もないので、YouTubeにあるものを紹介しました。

河川が蛇行しながら扇型の地形を形成し、伏流し、湧水する様子がよく分かります。

次に氾濫原の地形です。こちらも細かく見ていきます。
氾濫原は自然堤防、後背湿地、三日月湖に分けていきます。山麓から平地に出た河川は蛇行を繰り返しながら、氾濫原を形成します。氾濫を繰り返しながらカーブの外側(攻撃斜面)に土砂をドシャっと堆積させます。これによって自然堤防という周囲より高い部分(微高地)が形成されます。自然に形成された堤防なのでそのまま自然堤防。

河川の増水などによって、河川が氾濫すると、通常の稼動をはみ出して自然堤防の裏(後背)に水が溜まり、低湿地が形成されます。これが後背湿地で。後背湿地には、水が引かずに湖や池のような形で残るものもあり、その形から三日月湖と呼ばれます。氾濫した際の旧河道であることが多く、カーブを描いた形が多いです。もちろん三日月とは限りません。資料集のイラストなどを使いながら説明していきますが、黒板にイラストを書いたりしながら進めます。

作業②
作業①と同様に教科書について掲載されている氾濫原の地形図を着色していきます。
A:河川、三日月湖を着色
B:水田、畑を着色

Aでは氾濫原のカタチをとらえます。
Bでは氾濫原の地形と土地利用・生活をとらえます。

上記の作業が終わったら問に移ります。
問②1どのような地形?
  2水田はどのような地形に分布?
  3畑はどのような地形に分布?

問②1はもちろん氾濫原。水田はどのような場所にあるかというと(問②2)、後背湿地です。水が豊富にあり、逆に言えば水はけが悪い場所でもあり、畑には向いていませんので、水田が営まれることが多いです。畑は水はけが重要になってきますから、微高地である自然堤防上となります(問②3)。水害の被害を受けにくいので、集落も自然堤防上にできる傾向にあります。

三角州が残っていますが、三角州の他に河岸段丘、砂浜海岸、海岸平野をこのテーマで扱いたいので、次回にしたいと思います。

扇状地、氾濫原のまとめ問題をロイロのテスト機能を使ってやります。

思考問題①:基本課題④地形図の読図(自然堤防帯、河岸段丘、V字谷、扇状地)(令和元年度第1回高等学校卒業程度認定試験問題地理B打2問問1
思考問題②:発展課題④扇状地の成因と特徴(2018年センター試験地学第2問問4)


基本課題④は高卒認定試験からの出題ですが、難しくはないですが良い問題が多いです。しっかりと考えさせてくれる問題です。文科省のHPに掲載されていますのでご活用ください。

地形図が示す自然堤防帯、河岸段丘、V字谷、扇状地の地形について正しい特徴を選ぶ問題です。

河岸段丘は未習ですが、それ以外の選択肢は学習しましたので、消去法でできると思います。時間があれば解説します。

発展課題④はセンター試験地学からの出題です。説明から扇状地か、三角州を判断し、堆積する土砂の粒子の細粗を答える問題です。

終わり










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