第5回 さまざまな地形②

テーマ:さまざまな地形

内容:変動帯、活断層、V字谷、沖積平野、段丘、楯状地、卓状地、侵食平野、構造平野
導入問題:プレートの境界と安定大陸・変動帯の地形区分のトレース地震と火山の分布の比較・考察
思考問題①:基本課題②プレートの境界の特徴(2020年センター試験地理A第1問問4)
思考問題②:発展課題②海洋底プレートの境界の特徴(2006年センター試験地理B第3問問1)
思考問題③:基本課題③安定大陸の地形・新期造山帯の特徴(2007年センター試験地理B第1問問1)
思考問題④:発展課題③安定大陸の地形・構造平野(2009年センター試験地理B第1問問8)


第5回です。

導入問題:前回の続き


導入問題として前回の続きをやっていきます。トレーシングペーパーを使って教科書の図「プレートの境界と安定大陸・変動帯の地形区分」を写していきます。それをもう一つの図「地震と火山の分布」に重ねて、考察を行います。この方法は4年前からやっていますが、「地理総合」の教科書見本の中には、この過程を簡単にできるシートが付いている教科書がありましたね。重ね合わせるという作業はGISのアナログ版と言ってもいいですからね。「地理総合」でも重要な作業と言えます。

さて、ロイロノートに重ね合わせた図をタブレットのカメラ機能(ロイロのメニューバーにもカメラメニューがあります)で撮影し、提出です。考察はカードで提出です。

意見としては
A「プレートの境界で地震や火山が発生している」
B「狭まる境界で地震が多く発生している」
C「プレートの境界から少しずれたところに地震や火山が連なっている」
などが出てきます。

Aの意見が多く出てきますが、「プレートの境界の中でも、違いはある?
」とコメントを返して、「せばまる境界」「広がる境界」「ずれる境界」ごとの違いを考えさせます。するとBのような意見に変容したりします。もちろん、最初からBのような意見も出てきます。
また、Cのような鋭い指摘も出てきます。2枚の図を比較するだけでは、Cのような意見は出にくいと思います。トレーシングして重ねることによって、細かい部分にまで注目できます。大学で地理学の先生に「鳥の目=俯瞰的・マクロ的視点」・「虫の目=ミクロ的視点」で見ることが大切とよく言われました。「境界部分に地震や火山の部分が重なる」という考察は「鳥の目」の視点で、「プレートの境界から少しずれたところに地震が火山が連なる」という考察は「虫の目」の視点だと思います。どちらも大事な視点だと思います。
虫の目的視点「プレートの境界から少しずれたところに地震が火山が連なる」は地震にもプレートの境界で発生するものと、プレート内部で発生する地震があるという特徴にもつながる視点です。
同様にハワイのようなホットスポットと呼ばれる場所で発生する地震もあります。「虫の目」で見ることも大切ですが、境界部分ばかりに着目すると、境界部分で発生する地震や火山に目がいかなくなります。毎年「鳥の目」で見て、境界でなくとも地震が発生していることに注目してみることをアドバイスをするようにしています。



展開①変動帯の地形


プレートの境界では地震や火山活動が活発であることを確認できたところで、境界が陸上部分にあたる変動帯ではプレート同士が押し合うちからによってヒマラヤ山脈のような高い山脈が形成されること、大きな地震を起こしてきた断層、そのうち、活動する可能性の高い活断層を説明していきます。

また、変動帯の地形として形成された山地を河川がV字谷を形成しながら、削った土砂を運搬し、中下流に堆積させます(沖積平野)。子供の頃に砂場でお山を作って、てっぺんから水を流して遊んだりということは経験している子も多く、それをイメージさせて、V字谷や沖積平野の形成を理解させます。また地盤の隆起や河川の侵食による段丘という景観も紹介します。紹介です。

変動帯の中で沖積平野やV字谷、段丘を簡単に扱いますが、変動帯と安定大陸を流れる河川の違いが作り出す地形の違いという視点で紹介していきます。

沖積平野や段丘の詳細は次回、地形図を使って学習しますので、ここでは変動帯付近の急な勾配を持つ山地では河川が山地を侵食し、作られた平野が沖積平野である、段丘という景観があるという程度にしておき、その詳細なメカニズムや特徴はここではしません。変動帯にはこんな景観があるよ、どうやって形成されたんだろうかと投げかけるくらいでいいかなと思っています。

展開②安定大陸の地形

変動帯の地形に対し、地震や火山が少なく、大平原が広がるのが安定大陸の特徴です。変動帯のように急峻な山地は少なく、楯を伏せたような形のゆるやかな高原である楯状地やテーブルのような台地状の平原である卓状地が安定大陸の地形の特徴であると、変動帯との比較をしながら進めます。

河川についても変動帯のように急勾配の河川はあまりなく、楯状地や卓上地は河川による侵食と堆積によって形成された沖積平野ではなく、太陽、風雨による風化によって削られてできた侵食平野です。また変動帯のV字谷に対して、U字谷と呼ばれる氷河の侵食によって形成された地形とそこに海水が入り込んでできたフィヨルドも大きな違いです。侵食平野にはケスタ地形のような地質構造が地形として現れる構造平野も含まれます。

もう一つ河川の特徴として、大平原を流れ、ゆるやかな勾配を持つことから水運に利用されたこと、土砂災害は変動帯の河川に比べれば少ないが、氾濫の被害は大きいなど、今後、地誌を学習する際にその地域の生活を左右する要素にも触れておきます。

説明が多くなってしまって生徒の集中力が続かないかったことを記憶しています。系統地理はどうしても説明が多くなってしまいます。地誌は系統地理で学習したことの応用になるので、知識の活用がメインになって生徒が思考する場面も増えるのですが…ここは説明ばかりになってロイロノートを使う場面が、最初と最後になってしまい、大半の時間、タブレットがスリープ状態になってしまいました。最初と最後だけの使用ならスマホ・携帯電話のロイロのアプリで十分なのかなと思いました。1つくらいは地形形成のメカニズムを考えさせてもいいかもしれません。

まとめ

思考問題①:基本課題②プレートの境界の特徴(2020年センター試験地理A第1問問4)

思考問題②:発展課題②海洋底プレートの境界の特徴(2006年センター試験地理B第3問問1)

基本課題としてセンター試験地理Aから、発展問題として地理Bからプレートの境界に関する問題を選んできました。

前回から使用しているプレートの境界と安定大陸・変動帯の地形区分のトレース地震と火山の分布の図を使えばそれほど難しくないと思います。

基本課題は必ずやりましょう、発展課題は余裕があったら、やりましょうということにしてあります。解説も基本課題は必ずしますが、発展問題はしません。

今回は思考問題が4つもありますが、全てこの第5回でやったわけではありません。まだロイロを使った授業のペースが掴めずにいたので、スピードがクラスによってまちまちで、「導入問題→講義→思考問題→講義→思考問題」のような流れが定着していないです。
ですので、思考問題が4つあったりします。

ここは第5回を「変動帯の地形」「安定大陸の地形」に分けた方が良いのかもしれません。

終わり





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