第7回 河川・海岸の地形②

テーマ 河川・海岸の地形
内容:河岸段丘、台地、岩石海岸、リアス海岸、砂浜海岸、海岸段丘
 導入問題:ログインチャレンジ④:プレートの境界の特徴と成因、火山・地震の分布(2014年センター試験地理B第1問問1・2)

思考問題:「天橋立」・「美保の松原」(「富士山・海・松原の景観」)はどのように形成されたのか?

導入


前回の基本課題の解説から入っていきますが、ログイン完了で足並みが揃うまではロイロのテスト機能でチャレンジ問題をやってもらいます。

基本課題④解説
長い解説は必要ないと思います。
「河川の侵食によるV字形の深い谷の底に土砂が堆積してできた小規模な平地が見ら れる。 集落は,河川に沿った平地に立地 している」など、選択肢の説明が丁寧なので、該当の地形図をすぐに選べると思います。

展開①:三角州

沖積平野のゴール、河口部に形成されるのが、三角州(デルタ)といわれる低湿地で、地盤が緩く、洪水、高潮、地盤沈下などの災害の危険性が高いが、水の得やすさや、海へのアクセスから古くから都市が形成されることが多かった地形です。
ここも実験の動画を見てもらいました。
こういう実験してみたいです。

展開②:河岸段丘


次に氾濫原が隆起して形成される河岸段丘を見ていきます。大きく分けると河岸段丘には2つのパターンがあると思いますが、使用している教科書は、氾濫原の一部が隆起して台地を形成するパターンです。正確にはこれに隆起や海面低下が加わり、河川の浸食作用によって階段状の地形ができます。これを考え始めると、かなり複雑です。地理Aのレベルでは氾濫原の隆起に留めるくらいがいいのかもしれません。地理Aではその細かいメカニズムよりも、そこでの生活に重きが置かれている気がします。

ですので、台地上は氾濫の心配はないが、水を得にくく、灌漑などの技術が必要さとされることを資料集などのイラスト・写真とともに紹介しておきます。この台地の地形については、地誌でタイを扱う際に重要になってきます(タイ最大の稲作地帯=コラート台地)。

作業①河岸段丘の等高線(10mごと)の着色

河岸段丘の地形図の等高線を辿ることによって河川を中心とする階段状の地形を確認します。
等高線が密集している部分というのはどのような地形なのかをイメージしてもらい、意見交換します。答え合わせとして国土地理院の地理院地図で河岸段丘を見てもらい、等高線が密集する部分は急に高くなる部分(段丘崖)であることを確認します。

第一学習社の資料集には国土地理院の3D地図のリンクがQRコードで掲載されているので、スマホで読み取って扇状地や河岸段丘の立体地図を見ることができて便利です。色々な角度から3Dの地形を見ることができるので、タブレットなどがあると、理解がしやすいと思います。

展開②海岸の地形

次に海岸を見ていきます。リアス海岸は中学校でもやっていますので、その形成から説明して、地盤の沈降や、海面の上昇によって山地が沈水して海にせまる岩石海岸の1つという紹介が良いと思います。ここでも生活に触れておきます。生徒の中にはリアス海岸の湾内は波が穏やかで漁港や真珠や牡蠣の養殖場に向いていることを中学校でやっている場合もあるので、意見交換させてもいいですね。日本で初めて真珠の養殖に成功した場所は三重県の志摩半島(リアス海岸)である理由も納得ですね。ただし、津波の波高が高くなるため(水深が浅くなるにつれ津波が高くなる、V字型の湾ではエネルギーが濃縮されて津波が高くなる)被害は大きくなります。


次に山地ではなく、平野が海にせまるところで、沿岸流が運ぶ土砂よって形成される砂浜海岸と、かつての浅い海底が隆起してできる海岸段丘を見ていきます。

思考問題:「天橋立」・「美保の松原」(「富士山・海・松原の景観」)はどのように形成されたのか?

「天橋立」、「美保の松原」どちらか一方でいいと思います。私は両方とも地理のダイナミックさがよく分かる事例で好きなので、全部説明してしまうのですが、もちろん時間がオーバーします。


沿岸流が作る地形は砂洲・砂嘴・陸繋島など紛らわしいものがたくさんありますが、地理Aではまとめて砂浜海岸でいいと思います。細かい知識よりも、日本三景の1つ「天橋立」や富士山の世界文化遺産を構成する「三保の松原」が沿岸流によって作り出された美しい景観であることをいつも強調しています。

また、かつての浅い海底が隆起して形成される階段状に地形、海岸段丘も紹介しておきます。

終わり




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